年間第27主日 2023年10月8日

 マタイによる福音(マタイ21章33-43節)

〔そのとき、イエスは祭司長や民の長老たちに言われた。〕「もう一つのたとえを聞きなさい。ある家の主人がぶどう園を作り、垣を巡らし、その中に搾り場を掘り、見張りのやぐらを立て、これを農夫たちに貸して旅に出た。さて、収穫の時が近づいたとき、収穫を受け取るために、僕たちを農夫たちのところへ送った。だが、農夫たちはこの僕たちを捕まえ、一人を袋だたきにし、一人を殺し、一人を石で打ち殺した。また、他の僕たちを前よりも多く送ったが、農夫たちは同じ目に遭わせた。そこで最後に、『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、主人は自分の息子を送った。農夫たちは、その息子を見て話し合った。『これは跡取りだ。さあ、殺して、彼の相続財産を我々のものにしよう。』そして、息子を捕まえ、ぶどう園の外にほうり出して殺してしまった。さて、ぶどう園の主人が帰って来たら、この農夫たちをどうするだろうか。」彼らは言った。「その悪人どもをひどい目に遭わせて殺し、ぶどう園は、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに貸すにちがいない。」イエスは言われた。「聖書にこう書いてあるのを、まだ読んだことがないのか。『家を建てる者の捨てた石、これが隅の親石となった。これは、主がなさったことで、わたしたちの目には不思議に見える。』 だから、言っておくが、神の国はあなたたちから取り上げられ、それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる。

今週のメッセージ

港教会 山野 聖嗣 神父

みなさん、こんにちは。今から15年前の2008年11月24日に、長崎県長崎市のビックNという野球場で188人の日本の殉教者たちが福者にあげられました。普通の列福式は、ローマ・カトリック教会の教皇様がいらっしゃるローマのバチカンで行われます。しかし、特別な許可が下りて、188人の殉教者たちの列副式が日本で行われました。日本の当時の司教様たちの話し合いで、長崎が式場としては相応しいと決まり、長崎で福者たちの列福式が行われました。そして、7月1日が正式に188人福者の殉教者たちのお祝い日と決まりました。毎年、日本の教会でお祈りが捧げられています。15年前に私ども聖アウグスチノ修道会でも、この列福式に向けて、9月と12月の2回に分けて、巡礼を企画し、実行しました。東京・名古屋・福岡・長崎で働く日本の聖アウグスチノ会の会員とそれぞれの小教区の有志の信者さんたちとで行くことになりました。188人のうちの1人トマス金鍔次兵衛神父様は、ご存知のようにアウグスチノ会の神父様です。彼は、日本の迫害時代に活躍し、最後は長崎駅前にある西坂の丘の処刑場で殉教されました。トマス次兵衛神父様は、伴天連追放令により神学生であった彼は、日本から国外追放されています。彼は、フィリピンでアウグスチノ会に入会します。そして、同じフィリピンで司祭叙階しました。15年前に日本のアウグスチノ修道会では、フィリピンを訪れ、次兵衛神父様が9年間生活された足取りを辿る巡礼を企画しました。私も日本聖アウグスチノ修道会が企画した1回目の6日間の巡礼に参加しました。まずは、次兵衛神父様が司祭叙階されたフィリピンの南の島にあるセブの教会を訪れました。残念なことに400年前に叙階された教会は、2度の大火事で残っていませんでした。しかし、その教会の敷地内に建てられている教会でミサを捧げることはできました。叙階された次兵衛神父様は、フィリピンの北の島にあるマニラへ移動の辞令がでて数年過ごしています。トマス次兵衛神父様は、セブ修道院が気に入っていたようで、自分で管区長にお願いして、セブ修道院へ戻っています。次兵衛神父様がセブの修道院に戻りたかった理由は、現在でもフィリピン人カトリック信者がみんな知っているサントニィーニョという幼子イエス様のお人形への信心があったからでした。今でもそうですが、人口の80%がカトリック信者というフィリピン人はこのサントニィーニョへの信心が根強いです。それは、フィリピンにスペインのアウグスチノ会の宣教師たちによってキリスト教が入って来ました。日本では、イエズス会のフランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教をもたらした歴史と同じように有名です。アウグスチノ修道会の宣教師がフィリピン人の王様と女王様に洗礼を授けました。その際に、初めて洗礼を受けた女王様に洗礼のお祝いとして宣教師は、幼きイエス様のお人形をプレゼントします。このお人形がサントニーニョです。そして、セブ修道院に戻ってきた次兵衛神父様は、日本での迫害が激しくなってキリスト信者が処刑されている情報を聞きます。そして、日本のカトリック信者のために日本へ戻る決意をします。セブ修道院から長崎へ向かいます。マニラは、次兵衛神父様がアウグスチノ会員として誓願を立てた400年前の教会や修道院が残っていました。私は、マニラ修道院を歩きながら、400年前に金鍔神父様が歩いた同じ渡り廊下を歩いていることに不思議な感動を覚えましました。

今日の福音で、イエス様は「神の国はあなたがたちから取り上げられ、それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる」とおっしゃっています。ぶどう園の主人が何度もぶどう園に使者を送ります。農夫たちは、使者を拒絶します。最後に自分の息子ならと主人は息子を送ります。すると愛する息子を農夫たちは、殺します。神様は、アブラハムから出た民族を長男として選びました。神様は、人間たちにたくさんの預言者を送りました。しかし、アブラハムの子孫たちは、預言者たちの言うことを聞きませんでした。最終的に父である神様は、子である神様を人間としてイエスを送ります。すると、ユダヤ民族はイエスを殺します。イエス様は、「神の国はあなたがたちから取り上げられ、それにふさわしい実を結ぶ民族に与えられる」と言われます。現代、日本の殉教者を始め、世界中の民族に神の国が神様から与えられています。今週も神様の国を受け継ぐ人間として信仰生活ができるようにお祈りいたしましょう。

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